二十階の部屋に未織は躊躇することなくついてきた。二人はコートを脱ぐ。Vネックのセーターを脱がせる悠吾の行為に合わせるように未織は両腕を上げる。目の前にピンクのブラジャーに包まれた豊満なバストが現れた。悠吾がシャツを脱ぎ始めると、美織はスカートのファスナーを自分で降ろした。
二人は全裸になった。未織の腕をとりベッドに行こうとすると「待って!立ったまま私をハグして」と言う。裸体の二人は立ったまま静かに抱きあう。不思議な感覚が降りてきた。未織の鼓動が、触れあう全身の肌を通して伝わってくる。
「こうしていると全部が伝わるでしょ。私を感じて、私は悠吾さんを感じるから」
未織の匂いや温もり、そして何とも言えない安心感が、密着している身体全体から伝わってくるのがわかる。二人の情動が同期しながら突き上げてくる。
倒れるようにベッドに横になり乳房を揉むと「ああ」と未織は声をあげる。悠吾は未織の乳首を吸った。
「お前のような奴は男のクズだ」
「そこに立て」と父親が庭先に悠吾を立たせた。手加減のない鉄拳が悠吾の顔面に飛んできた。悠吾は思わず後ろに転んだ。父親は悠吾の腕をひっぱり「ほら、立て」と立ち上がらせる。もう一度、鉄拳が飛んでくる。泣き声を聞きつけた母がやってきた「お父さん、もう許してあげてください」「だめだ」、母の制止を無視して、父は悠吾を立たせる。「もう二度とやるな」と言って飛んできた三発目で悠吾は気を失った。
夜、布団の中でずっと泣いていると、母が布団に入ってきた。「大丈夫だよ、今日はお母さんが一緒に寝てあげるからね」と言った。悠吾は母の懐に潜り込んで思い切り泣いた。母の匂いや肌の感覚が傷ついた悠吾の心を癒やしていった。
「かあさん」と言って目を覚ました時、隣に寝ている人が未織だと知り、悠吾は現実に戻った。彼女はまだスヤスヤと寝ている。未織の髪を優しく撫でる。安心感に包まれた悠吾は彼女の乳首を再び口に含んだ。
未織が目を覚ました。
「うーん、よく寝たわあ」
「おはよう、みおり」
「ゆうごって、おっぱいが好きねえ」
「好きだよ、男はおっぱいがすきなんだよ」
「シャワー浴びてくる」
未織はベッドから立ち上がった。肉付きのよいヒップとくびれたウェスト、全裸の後ろ姿が目に入ってきた。
バスローブを身につけた未織が戻ってきたので、「じゃあオレも入ってくる」といってシャワー室に入った。未織と汗の臭いに包まれた全身にシャワーをあてた。少しもったいないような気持ちがあったが、また会えると思い直し、頭から足まで洗い、バスローブを着た。
未織はコーヒーメーカーでコーヒーをいれている。
「はい、お疲れさま」
「疲れてないよ。ありがとう」
「覚えている?昨夜のこと」
「覚えているのにきまってるよ」
「五十女に火をつけたのは悠吾だからね」
「五十男を復活させたのは未織だよ」
未織は自由奔放の面と図書館司書というお堅い面を持っている。おそらく厳格な父親にしつけられたからなのだろう。外的抑圧が強いほど、解放された時に女性は奔放になると聞いたことがある。未織は“夜は夜“といったような、割り切った調子で、真面目な表情になり話り始めた。
「私、界君にあやまらないといけない」
「え、何?昨夜のこと」
「何を言ってるの。ちがうわよ。界君が私のために箸箱を探して父親にギャクタイされたこと」
「ギャクタイじゃないでしょ」
「界君には電話しておく、それより、ねえ、徹志は生きていると思う?無くなった運慶の箸箱、徹志が持って行ったのかなあ。そんなことやるとは今でも思えないの。真相を知りたい。私は、ずっと徹志のことを引きずっていたんだと思う。悠吾さんと徹志がつながっていたのなんてビックリだし徹志の作った箸箱が私達を会わせてくれた」
「オレも会いたい。思い出したことがある。徹志さん、すごい手先が器用だったんだよ。母の実家に行くと、彫刻刀で彫った鳥や動物が沢山あったのを覚えている」
「父が惚れ込むはずよね」
「母が箸箱をもらった当時を知る人は、もう誰も居なくなってしまった」
「でも山形に戻ったのは確実よね、そうだ!」
未織はバックからiPadを取り出して、グーグル検索に「山形、桂木徹志」と入れた。しかし何も出てこなかった。
「山形、桂木、箸箱と入れてみたら」と悠吾の言葉に沿って検索したが何も出ない。
「もっと検索幅を広げてみたら」という言葉に従い「山形 鎌倉彫」と入れて、スクロールすると山形市内の骨董屋ブログにたどり着いた。五年前のブログ記事に「鎌倉彫りの見事な作品を手に入れました」とある。ブログに載った写真には、大きなユリが掘られた手鏡であった。
「あ、これ、徹志が作っていたものに似ている。彼は大きなユリを好んで彫ったのよ。それとこの刀痕も見覚えがある、匠真に見せれば徹志の作品かわかるかもしれない」
「ユリといえば酒田市の市花はトビシマカンゾウというユリ科の花で、酒田沖の飛島で発見されたんだよ」
「え、そうだったの」
「きっと、母親代わりだったオレのお袋への思いが残っていて酒田を思い出しながら彫ったんだと思うな」
「そうかもしれない。徹志はユリがとても好きだったの。大学生の時、誕生日か何かで徹志からユリの花をもらったことがあった。あの時、これ葬式の花でしょなんて言っちゃってさ、悪かったなあ、ははは」
そういうと未織は窓の外の新宿の狭い空を見上げた。
「じゃあ、一度部屋に戻るわ」
「10時に下のロビーで待ち合わせよう」
悠吾はアタッシュケースにある箸箱を取り出して、もう一度上から下から横から徹志の作品という鎌倉彫を見ていた。
Mermaidから始まった一連の出来事を思い出す。
未織との出会い、バブルごっこ、界との関係悪化、昇進、桂木徹志との縁など、自分の意志とは違う次元で世界が展開しているような気分であった。
――箸箱が全てを繋げ、自分を取り巻く世界が変わり始めている。未織と会わせてくれたのは母と加奈子を繋いでいたこの箸箱だ。
これまで、悠吾に再婚の話や付き合ってほしいと言われたことも何回かあったが、心は動かなかった。田中医師が言うように亡き妻への罪悪感や、自分ではわからないが母親への思いがあったのかもしれない。ともあれ、別れた箸箱が二人を引き合わせたのは間違いない。
二人は仕事で待ち合わせたかのようにロビーで会釈をして街に出た。未織は午後から仕事に行くと言った。悠吾は歌舞伎町メンタルの予約が11時半にいれていたし、夕方は大学研究室への訪問予定であった。
「じゃあ、また」と悠吾。
「うん、またね」と未織は微笑んだ。
歌舞伎町にあるメンタルクリニックの待合室には、キャバ嬢風の若い女性や、汚いジャンパーの外人、動き回る子どもをつれた母親がいた。エレベーターに一緒に乗ってきたのは、クリニックのもう一人の精神科医だった。エレベーターの中に酒臭が拡がった。
――この先生、アル中だろう。こんなんで患者を診れるのかよ。
待合室で30分待ったあと、田中医師が悠吾を呼んだ。
「今日の中ノ瀬さん、なんか嬉しそうですね、良いことでもありましたか」
「実は、前回話した女性と昨夜一緒でした」
「素敵な体験だったんでしょうね」
「ええ、まあ」
「奥さんへの罪悪感はあがってきてないですよね」
「どこかにすっ飛んじゃいました」
「そうとう心が動きましたね」
「不思議なんですよ、今朝、幼い頃の夢を見たんです。母の匂いや肌の感触まで蘇りました。目が覚めたら隣に寝ているのは彼女だったんです」
田中は、うん、うんと納得したように頷く。
「バストが大きい女性でしょう」
「え?」
――この先生は透視でもできるのか?
「ど、どうしてそう思うのですか」
悠吾は照れくさそうに答える。
「シャルフという夫婦療法家が言っているんですがね、セックスという行為は、母と乳飲み子の関係の無意識的反復だというのです。だから男は乳房を求めるんです」
「男全員が巨乳好きじゃないでしょう」
「中ノ瀬さんの心理状態を理解して適当に言ってみただけですよ、違ってたら申し訳ない」
「いや先生!当たりです。でも、その解釈、男はなんとなくわかりますが、女の場合にはどうなるんですか?男に乳房がないので、欲しくても求められないでしょう」と性的関係を母子関係に還元する解釈に反論すると、田中医師は、大きな身体を近づけ、声のトーンを落として話し始めた。田中の呼気からニンニク臭がする。
「実はね、フロイトが言ったんですよ。私の意見じゃありませんからね。女性の場合には乳首の代行は男のペニスなんですよ。そういう行為あるでしょう。こういうことを今時言うと、フェミニスト・セラピストの逆鱗に触れますがね、ははは」
「なるほど」
「ま、何はともわれ良かったです。きっと無意識で母親に会えたのですよ。でも、亡くなった奥さんへの罪悪感が、今後は持ち上がるかもしれないですね。しかし、そういう罪悪感を凌駕するのも新しい人とのセックス、専門的には愛着関係です。きっと元気になったことを奥さんは天国で喜んでいると思うようにしてください。息子さんも立派に成長しましたし、もう自分の人生を生きて下さい」
――オレは、死んだ母と無意識で会っていたわけか。
自分と母との関係が思い出されると同時に、界が抱えている加奈子への思いが湧き上がってきた。もしも未織と再婚話しになった時に界はどう思うのだろう。別に再婚しなくても、未織との関係が知れたら、界は悲しむのだろうか。界の体験している幻聴はもう消えたのだろうか……。
悠吾には父親としての自分が立ち上がってきていた。
新宿の時から数えると3回目の夜だった。昨夜は横浜のインターコンチネンタルから夜景を見ながらワインで乾杯した。その夜、未織の三回目が達する時、悠吾は未織を追いかけるように「ああ、いく、みおり」と言い、全てのエネルギーを放出して達した。先に寝てしまった悠吾に未織はそっと口づけをする。
翌朝、桜木町で別れた未織は元町に向かった。
中学時代に両親と何度か行った老舗の靴屋に行くためだ。中学二年の時、母が他界するまで自分には核家族という世界が確かにあったと未織は思う。母が亡くなってから元町に自分から行くことはなかった。しかし、今日に限っては、久しぶりに元町を歩いてみたくなった。誰もが知る老舗の靴屋に入ってみると、若い店長らしい人がいた。
「どのようなものをお探しですか」と品の良い店長が声をかけてくる。懐かしい雰囲気が漂っている。
——先代の息子かしら。
「今でもローファーとか流行っているのかしら」
「もちろんです。最近は外国の方も買っていきます」
ハマトラという言葉が流行った高校時代、この店の靴は、その象徴であった。
新しいローファーの靴を未織は買った。元町商店街の中ほどに白い壁の洋風の外観のランジェリーショップがある。元町らしい異国情緒がたっぷりの店である。色とりどりの輸入ランジェリーが未織の目に入ってきた
——これ、ゆうごが好きな色かもしれない。
ブラジャーを選ぶ目にも悠吾がいた。
十五年前に父が亡くなってから、自宅と図書館を行ったりきたりの生活。ときどき行くMermaidでマスターや同級生と話しをするくらいしか楽しみもない地味でセピア色の自分の生活が色彩を持ち始めている。
目の前から大学生っぽい男女が四人で歩いてきた。それを見た時、「あっ」と声が出た。すっかり悠吾熱で忘却していた箸箱と界のことを思い出したのである。
——界君に箸箱のことを伝えないといけない。それとあの写真を匠真に見せなきゃ。
未織はラインで「未織/話したい事があります」と打った。
界は自分に好意のようなものを向けている。ただ自分は界を男性とは見ることはできない。それに、箸箱探しで悠吾から暴力まで振るわれたことを謝らなければならない。あっという間に3月になってしまった。3月18日は父の命日だし、絶対に匠真の工房に出向かないといけない。それまでに界に連絡をして、真相を伝えて置かねばならなかった。未織はLINEをいれた。
返事は3日後に来た。
「界/僕も会いたいんです。午後授業ないから明日でもいいです」
「じゃあ10日午後3時に大船駅前のルノアールにしましょう」
未織は界と箸箱のことをすっかり忘れていたことに申し訳ない気持ちがわき上がり有給をとることにした。大船は逗子と横浜の中間地点である。大船観音が見下ろす駅前のルノアールは叔父の勧めで、見合いでも使ったことがあったし、30代の頃に付き合いかけた男とも何回か来ていた。30代まで結婚願望とかあったわけではないが、35歳を過ぎると、結婚やら男性への関心は薄れた。なにより図書館司書という仕事柄、男性と会う機会も少なかった。
ルノアールの内装は以前と殆ど変わっていない。未織はアイスコーヒーを飲みながらスマホの鎌倉彫を見た。
――徹志のものに違いない。
喫茶のドアチャイムが鳴り、界が店に入ってきた。未織は「こっちよ」と手をふった。
「どうもです」
「界君、元気だった。この前、お父さんから聞いたわ。箸箱の件で酷い目にあったんだってね、ごめんなさいね」
「っていうか、父からいつ聞いたんですかって?言いたいけど、もういいです……今日は自分のことを話したいんです」
「先日、匠真さんに会ったんです。そして、僕は未織さんにお母さんを重ねているんだって言われたんですよ」
「へー、匠真、そんな精神科医みたいなこと言ったんだ」
「僕の心がザワつくばかりなんで、もう未織さんとは距離を置こうと思ったんです。これまでみたいに自分の気持ちを収める言葉を本に探しました。『ツァラトゥストラはかく語りき』──あなたが出会う最悪の敵は、いつもあなた自身であるだろう──というフレーズが心に残り、徹底的に自分を考えました。自分は事故以来、母を考えることから逃げていたんです。忘れようとしている事故の思い出、思い出すと辛い母の思い出を、三日三晩かけてパソコンに書き出しました。打っているうちに何度も泣きました。自分は母との過去を敵のように追いだし消し去ろうとしていたんです。そういう気持ちが逆に自分の気持ちを未織さんに向かわせたんです。そう思えた時、未織さんは実は母に似ていると思ったんです。僕は恋愛感情だと思っていたけれど、そうじゃなくて、これは女性の持つ特有の優しさ、“母性”って簡単に言うのかもしれないけれど、それを未織さんに感じていたと気づいたんです。自分の気持ちがはっきりしたら、逆に会いたいと素直に思えたんです」
「お母さんが亡くなったのは、小学生の時だったよね」
「未織さんと母には同じところがいくつもあることが解ってきたんです。最初に心を奪われたのはハンドクリームの匂いです。未織さんがつけていたハンドクリームは母の匂いでした」
「ああ、そうだったの。お母さんが使っていたのは、レ・マン・エルメスというクリームなの。バブルを若い頃に過ごした女性が好むの」
「でも、それだけじゃないんです。本棚の前に立つ未織さんの姿にも母が重なっていたんです」
――今日は直球できている。
未織は真剣に語る界の眼差しに、むしろ男らしさを感じていた。
「大人の女性がそばにいなかったせいもあったし、自分が知っている女性、っていうか女の子は、だりあしかいないし、どういう感情なのかわからなかった、でも、やっぱり未織さんには母を重ねていると思っています。だからこそ、なんか父と未織さんの取り合いみたい感じになっていました」
――この子、自分で内省してる。しかもエディプス・コンプレックスまで理解してる。
「匂いってすごい刺激なのよね。私にも思い出がある。父が亡くなって一年目の時かな、電車に乗っていた時、となりに初老の男性が立ったの、男性がつけているポマードの匂いで、父が蘇り、そしたら涙がポロポロ流れちゃって、父は職人だったけど、私や母と外出するときにはいつもポマードでがっちり髪型を固めていたから、電車と父とポマードで、記憶が引っ張り出されてしまったのね」
未織は覚悟したように話しを続ける。
「この前、お父さんに箸箱を見せてもらったの。そして、界君に箸箱探しをさせたのではないと解ってもらった。話しているうちに、徹志さんは、お父さんのお母さんの実家に住み込んでいたお手伝いさんの息子だったのよ。お父さんも何度か会ったことがあると言ってた。グーグルで検査してみたら、徹志の作品らしいユリの花を彫った鎌倉彫を山形の骨董屋が買っていたのよ。私、これから匠真に写真を確認してもらおうと思っている」
「未織さんと父ってどういう関係なんですか……あ、でも、もういんです」
未織は優しい微笑みだけを界に送った。そしてアイスコーヒーのストローに口をつけ「ねえ、界君はお婆ちゃんのこと覚えている?」と言った。
「はい、山形から戻る時に、これをお母さんに渡してと、お土産と手紙をもらってました。父の気持ちが今ならわかります。母と山形のおばあちゃんの間でいろいろ葛藤していたのだと思います。もっと親孝行したかったと言ったことがありました」
最初に会った時の悠吾には、どこか淋しさのようなものが漂っていた。そういう部分もまた自分が惹かれた理由なのかもしれない。それは、かつて徹志に感じたものなのかもしれない。
「界君、一緒に箸箱の謎解きにいかない」
「山形のお婆ちゃんと居る時の父は、母には見せないような笑顔になったんですよ。お婆ちゃんが世話していたのが徹志さんだったなんて、すごい偶然だし、箸箱が全部を繋げている気がする。もちろん僕は一緒に行きます」
「あ、そうだ、だりあちゃん呼ばなくていいの」
「あいつとはこの前から疎遠だけど、良い機会なんでLINEしてみます。多分、昨日で期末は終わっていると思う」
「界/箸箱の秘密を発見しました」
「だりあ /今、どこ?」
「界/未織さんと話している」
「だりあ/だから!どこにいるのよ」
「界/大船のルノアール、未織さんが父親から情報を掴んだみたい。これから一緒に謎解きにいかない」
「だりあ/凄い! どこに行けばいいの」
「界/鎌倉彫り工房匠真に4時に集合」
「だりあ/OK」
この記事へのコメント
かがわとわ
カラーピーマンさん! ご多忙のところ、リレー小説を読み、毎回丁寧なコメントを書き込むお時間を頂いてしまっていることに、感謝しかありません。
私たちは、とても励みにしています。
本当にありがとうございます。
藤村邦
ありがとうございます。だりあちゃんが成長していくのも楽しみです。
だりあは未織という女性をどのように感じるのか。あと徹志は生きてるのか、どこにいるのか・・・私にもわからないので楽しみです。
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第14話 拝読いたしました。
未織のバブルごっこでの羽目の外し方、悠吾や界に対する思わせぶりな態度が父からの抑圧から来ていているとしたら、なるほどなあ、と思いました。悠吾も厳格な父から自分の心を守ってくれた母に未織を重ねたとなると、親子関係の無限ループを感じてしまいます。
界も亡くなったお母さんと未織を重ね、自分の気持ちにずいぶん苦しんだのでしょうね。
界が自分の気持ちに気付いて前に進めたこと、未織が大人の女性として界の成長を喜べたことに救いを感じます。
大変深い内容に考えさせられました。
ありがとうございました。